次の世代へ、大切に伝えたい事柄や、残したいモノが自分の中にあるのか。一年の終わりに近づくと、毎年思い返し、考えます。祖母や母が作ってくれた手料理も、その一つかもしれません。
革製品は、原皮と呼ばれる「皮」から、商品として使われる「革」へ加工する際に「鞣す」と言う工程があるのですが、文字を見て分かるように革を柔らかくする作業の事を言います。腐敗などの劣化を抑え、革特有の強度としなやかさを引き出します。一方、強固なものにする為に、敢て硬く加工されるものもあります。長い時間をかけてロウに漬け込む製法も、その一つです。複雑で手間のかかった素材には、時代を超えた高貴な雰囲気があるものです。
昨今の世の中には、様々な「良いもの」とうたわれたモノ達が溢れ、その中でも「トレンド」と呼ばれる一握りがもてはやされています。けれど、本当の良いものとは、様々な行程を経て生まれた秀逸な素材やパーツが、クリエイティブな化学変化を起こして形になったものなのだと思います。「トラディッショナル=伝統」には、そのモノの価値プラス、長い時間をかけて愛されてきたと言う実績が伴うのではないかと。
家庭の味とも言える、手料理もそれと同じで、受け継ぎ、次に繋げる為の「今」こそが、良いモノを生み出す為の”縫いしろ”のようなものであり、表から見える事は少ないれど、なくてはならない大事な時間なのだと思うのです。
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亡くなった祖母は、うちに遊びにくる度に「揚げ菓子」と称したアンダギー(沖縄のお菓子)や、「かっぱ焼き」と言う変わった名前のクレープとパンケーキの中間くらいの焼き菓子をよく作ってくれました。^^
大きいボウルいっぱいに作っては「栄養満点!栄養満点!」と、笑いながら勧めてくれたっけ。。懐かしいな。
母はまだまだ現役で、お菓子こそ作らないけれど・・・孫達は、その手料理を楽しみに実家へ遊びに行く。酢豚やコロッケ、野菜のいっぱい入ったビーフンや、絶妙な味付けのバラ寿司、佃煮や梅干しまで全部自家製。面と向かってはなかなか言わないけど、どれも美味しくて、実家へ戻るとついつい食べ過ぎてしまうのです。^^
仕事が忙しいのを理由に今の自分はと言えば、どこをどう間違ったか「作ることが好き」の部分だけを受け継ぎ、料理はいつも手抜きばかり。。苦笑
誰かの為に形として残せるモノを作ったり、
誰かの心に刻めるような時間を過ごしたり与えたりする事は、
誰にとっても永遠のテーマのように思います。
そして、これまでの自分とこれからの自分が繋ぐべきものは、
沢山の優しさを背負った身近な大人達と、知らない強さを武器にした小さい子供たち。
上手く繋げていけますようにと・・
歳を重ねた両親の背中に誓うのでした。。
SOSAKUYA Miyazaki Guest House Hiro.