2013年12月31日火曜日

積み重ねる砂粒


音も無く流れる砂時計。その最後の砂が細いガラス管を流れる時間だけは特別早く感じます。年の瀬も、そのようなものでしょうか。
 「時間の流れ」をコンセプトに掲げ、モノ創りをしているデザイナーさんがいます。伝統を重んじ、新しいモノを創り出すその感性は素晴らしいものだと思います。革製品と言うのは「生き物」であって、自ら動くことは無くてもしっかりと呼吸しています。そして温もりのある人の手によって「いかされる」―。手間を惜しまず、ゆっくりと時間をかけて形にすることこそが、形を変えたモノへの敬意だと思います。

 その他にも、伝統の京友禅で染め上げられた革を圧縮し、ステンドグラスのようにする加工や、「ガルーシャ」と呼ばれる「エイ革」のザラついた表面を、ヤスリのような工具で磨き上げ、宝石のような輝きを導き出す加工法があります。完成したひとつひとつが気高く優雅なそれらの見た目とは裏腹に、どちらも粘り強い忍耐力を要する大変な作業です。

 一つの良いモノが生まれるためには、生き物の命を預かった人たち(作り手)が、見える部分をいかすための見えない部分への繊細なこだわりと、モノに対する深い敬意と愛情があります。売り手としての私は、それらに関わった人々の感謝の気持ちを、手にする人に、きちんと伝える義務があるのだと思っています。

 自分の心の中に積み上がった砂粒に感謝しつつ、新年は、気持ちも新たに砂時計を逆さまにし、新しい一粒を少しずつ積み上げられたら良いな、と思います。






この一年で良かった事。
悲しい事、辛い事、どうしようもない出来事があると言う現実、それらを自分なりに受け入れる事が出来た事。
好きな事を精一杯やりぬけた事。
自分が死んでも形に残るモノを創れた事。
自分の仕事に対する考えを言葉にして残せた事。
感情のまま流されるのではなくて、立ち止まれる勇気を持てた事。
しょーもない話、どうでも良いような出来事から、沢山の閃きをもらえた事。
子供達がみんな可愛くてたまらない事。
どんな時にも、毎日笑顔で過ごせた事。


以前の自分は、ゴウゴウと流れゆく滝みたいだった。
色んな経験をして、それなりに・・苦労?・・みたいな出来事も起こって、食事が喉を通らない事も、全く笑えない日々もあった。 ただ泣くだけの1日もあった。歯を食いしばりすぎて血が滲むような悔しい思い、惨めな思いもいっぱいした。
(こう書くと・・「うっそ〜!見えな〜い!」と思う人が多いかもしれませんが。笑)

けれど、それらの事は全て「砂粒」。
見た目には分からないけど、自分の中に少しずつしっかり積み上がっていく。
どんな辛い事だって、繰り返せる事を喜べるようにならなければ、人は変われないし進めない。そう信じています。
そして・・・一年分の砂山は、心の中に固く積み上がっているのだから、空っぽにして思い切り逆さまにする勇気を持って生きていきたいな。と思います。

逆境こそがチャンスを掴む最高のジャンプ台だと信じて★ 






今年一年、本当にありがとうございました。
良いお年をお迎え下さい。



創作屋 宮崎 Guest House Hiro.