2013年10月30日水曜日

手間ひまかける愛情


お店に居ると、外に出る事はできませんが、さまざまなお客さまに、多くの「教え」を頂くことがあります。
先日、父の代からの長いお付き合いのお客さまが、秋の味覚「栗」を使った渋皮煮を持って来て下さいました。

小さく硬い栗の皮をひとつひとつ丁寧にむく作業だけでも大変なのに、完成品がきれいにトレーに乗せてあり見た目にも美しいのです。優しい甘さと作った労力を思うと、とても有り難く大切においしく頂きました。
 「手間ひまを惜しまない」と言うのは、お料理だけでなく、いろいろなことに重ねられます。もちろん、バッグや小物のデザイン・縫製にも言えることです。見た目に美しいものを、ただ「観賞」するのではなく、じっくり味わい「鑑賞」することこそが、革=生き物への敬意だと思いますし、ただ使いにくいからと言って、すぐに飽きない秘訣ではないでしょうか。

 芸術でもなんでも、創り出すと言う労力の根底には、必ず何かしらの思いや願いがあるように思います。逆に、そう言う精神性の無い"モノ"は、見る人、聞く人、全てにおいて響かないですし、喜びとして残らないものなのでは…と。

 ひと口頰張ると、口いっぱいに優しい甘さの広がるお菓子のように、手間ひまを惜しまずに形になった"モノ"たちには、それぞれの味わいがあるもの。
おいしいものを食べて「口が肥える」、良いものを見て「目が肥える」と言うように、良いものにふれて「手が肥える」ごとに、じっくりその良さを味わっていただきたいと思います。




*栗と一緒に写っているクチガネコインケースは、
京都浪速屋「たとかーふ」シリーズのモノ。
友禅染メッシュと箔かけの革。手間ひまかけた愛情を感じます^^
*そしてちなみに・・
コインケースをのせてる器は、ムスメ作。
画像では分からないようにしてますが、
お皿一杯に自分の名前がデカデカと書いてある。・・自由奔放さを感じます。笑




栗の渋皮煮なんて、一年に一度食べれるかどうか・・・
大好きだけど、到底作る気にはなれないし、作ったとしても成功する気がしない。苦笑
差し入れて下さった濱田さんは、昔から「有言実行」の方。
以前、社交辞令なんて大嫌い!と言う話で盛り上がりましたよね〜^^
本当に楽しいひと時でした。
いらっしゃると、楽しいお話を聞かせて下さったり、
時には、面白くもない私の話に耳を傾けて下さる忍耐の方でもあります。。

お客さまに笑顔になって欲しいと思っているのに、逆に元気をいただくことの方が多かったりして。申し訳なく思いつつも、いただいた元気を活力に変えながら、私が笑顔で居ることでお返ししたいと思っています。

濱田さん、本当にありがとうございました&ごちそうさまでした★
全部一人で食べました!笑